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ダウン症とは

 

私たちは、最初は、お父さんの精子とお母さんの卵子の受精によってできるたった一個の受精卵でした。その受精卵が二つに分裂し、それがさらに分裂を繰りかえして私たちの体を作る細胞になります。細胞には、核があり、そこには染色体があり、私たちの体の設計図が記されています。髪の色や目の色、顔や体の特徴だけでなく、私たちを形作るいろいろな情報がその設計図には書かれてあります。

 

受精卵に書かれた設計図の情報は、分裂した体全体の細胞にも同じように書かれてあって、すべての特徴を形作っていくのです。染色体のうち常染色体と呼ばれるものが22対、性染色体と呼ばれるものが1対あり、全体で46本の染色体があります。ところが、ダウン症候群は、22対のうち21番目の染色体が三本組になっているため、全体としては47本の染色体を持ちます。そこで、「21トリソミー」とも呼ばれます。

そのため、お父さんにもお母さんにも似ているけれど、ダウン症候群のお子さん同士には、同じような特徴が表れます。

 

ダウン症のうち、多くがこの21トリソミーですが、そのほかに、21番目の染色体が他の染色体に付着した転座型と二回目以降の細胞分裂の過程で、21トリソミーの細胞が出て、細胞の一部が21トリソミーとなるモザイク型があります。

染色体の突然変異は、誰にでも起こりえます。どの国でも、800人から1000人に一人の割合で生まれます。

 

自然界を広く見てみると、動植物だけでなく、すべてが必要で、お互いに関わり合いながら、存在することに気づかされます。病気や障がいもまた、必要で存在するということについての科学的な研究もすすんできています。そういったことを考えると、生まれてきたお子さんは、とても大切な存在と言えるでしょう。

 

ダウン症候群のお子さんを育てられた先輩のご家族は、よく「我が家の幸せのシンボル」という言い方をされますが、昔から、ダウン症のお子さんが、世界のいろいろなところで、「天使の子ども」「幸せを配る人」という言い方をされるのも、その特徴に由来するものだと考えられます。

 

ダウン症の特徴と特性

 

・他の赤ちゃんと同じような発達段階をたどりますが、その発達の速度は個人差がありますが、比較的ゆっくりです。

・多くの場合、筋肉の緊張度が低く、体がとても柔らかです。

・個人差がありますが、抽象的な事柄や漠然とした事柄が理解しづらかったり、学習を習得するのに、時間がかかる場合があります。しかし、一方、空間認知や模倣の力に優れていたり、また、想像力にも富んでいる場合が多いです。

・とても元気で病気に縁のないようなお子さんもおられますが、心臓や、消化器系、眼科系や、耳鼻科系、皮膚科系、整形外科系などに、疾患がみられる場合もあり、中には出産後すぐに手術が必要なお子さんもおられます。また、感染症にも罹りやすい場合があります。しかし、合併症は、ひとつひとつ治療をして、根治できることが多く、また、多くのお子さんは、大きくなるにつれて、丈夫になり、他のお子さんと同じように、元気にすごしています。家の近くの、ご家族が何でも相談できる小児科医に、主治医をお願いするとよいと思います。

・口の筋肉が弱いなどのために、言葉が聞き取りづらい場合もありますが、心の中には、深い豊かな思いを持っています。周りが、根気よく聞き続けることで、思いを伝えられるようになる場合が多く、また、お子さん自身も、手話や行動などで、その豊かな思いを表現することが得意な場合が多いです。

・音楽やダンス、また、絵や習字などに、素晴らしい才能を発揮するお子さんがたくさんいます。

・人の思いをよく汲み取り、優しく、明るく、人なつこく、またユーモアのセンスのあるお子さんが多く、周りの人に、愛されかわいがられているということをよく聞きます。

・上のように、ダウン症特有と言われるような特徴もありますが、お父さんお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんたちの特徴も受け継いで成長をしていき、それぞれの個性を持った子供さんだと言えるでしょう。

 

学校、仕事など

 

・学校は、一人一人の状況や希望に応じて、地域の小中学校(特別支援学級か普通学級)、または、特別支援学校を選びます。

・仕事は、様々です。施設や作業所での作業をしている人もいますし、一般企業で就職している人もいます。また、ダンサーや俳優や、画家、書道家などで、活躍しておられる方もいます。本人や周りが、「ダウン症」という可能性のラインを引かず、可能性と潜在力を信じて、興味のあることには何にでもトライしていくことで、お子さんの未来の可能性は無限大に広がっていくと思います。世界中にこれまでの「ダウン症」という既存の概念を塗り替えるような活躍されている方がたくさんおられます。これから時代はきっと、ますますたくさんのお子さんが、活躍されてゆくことでしょう。

 

*ダウン症のお子さんが生まれたら、ぜひ、多くの人とつながりながら、子育てを楽しんでください。ダウン症のお子さんは、外が大好きです。自然の中で、街の中で、多くの刺激を受けて、模倣をしながら、育っていきます。また市役所などで相談し、ぜひ先輩のご家族と仲良くなって、いろいろなことを教わることで、きっと安心して子育てができると思います。

 

■監修

産婦人科医 池川明 (池川クリニック院長)   

産婦人科医 昇幹夫 (日本笑い学会副会長)

小児科医 上田美子 (清音クリニック)

小児科医 永尾尚子 (ながお医院院長)

21+Happyの天使たち

特別支援学校教諭 山元加津子

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